#02 まちをつくる仕事は終わらない
emCAMPUS開発が映し出す、
サーラの挑戦
かつては多くの人でにぎわっていた豊橋駅前。
しかし、2003年の大型商業施設の閉店を機に、駅前の人通りは少しずつ減少していきました。
その中でサーラグループは、「ココラフロント・ホテルアークリッシュ豊橋(2008年)」「ココラアベニュー(2009年)」の開発を皮切りに、駅前の再生に取り組んできました。
そして、その集大成の一つが「豊橋駅前大通二丁目地区第一種市街地再開発事業」です。複数の商業ビル・公共施設が集まる街区で、2011年に地権者を中心に再開発準備組合を設立して事業の構想を固め、2016年に事業の本格実施をする再開発組合が設立。構想段階では豊橋市、地域の方々との勉強会やワークショップを経て、より賑わいや魅力を創出する空間が検討されました。旧名豊ビル一帯を再整備し、誕生した「emCAMPUS EAST(2021年〜)」は、商業・オフィス・住宅(マンション)・図書館が一体となった複合施設。続いて2期工事となった旧開発ビル一帯を再整備した「emCAMPUS WEST(2024年~)」を経て2025年に再開発組合解散、計画が完了しました。
行政、地域の方々、複数の地権者、組合、ゼネコンなど多くの関係者が関わり、長い時間をかけて進められてきたこのプロジェクトは、駅前のあり方そのものを問い直す挑戦でした。
今回は、その開発に携わった3名の対話から、その裏側に迫ります。
Member
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江間
開発チーム/建設管理・施設運営
emCAMPUS開発では、設計・施工を担うゼネコンとの窓口として、建設管理を担当。現在はemCAMPUSの施設管理、マンション管理、テナント管理を行う。
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吉原
開発チーム/企画・設計担当
商業施設やマンションの企画・設計を担当。施設の価値を高めるためのコンセプト作りから、具体的な設計への落とし込みまで幅広く担う。
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五十嵐
開発チーム/再開発推進・調整担当
マンション販売を経て、再開発組合に出向。行政との協議や関係者間の調整など、プロジェクト全体を前に進める役割を担った。現在はフードバレーチームに異動。
Topic 01 emCAMPUS開発の全体像と、それぞれの役割
まず、この再開発事業について教えてください。
江間
このプロジェクトは、「豊橋駅前大通二丁目地区第一種市街地再開発事業」として進められてきたものです。
もともとこのエリアには、名豊ビルをはじめとする複数の建物があり、それぞれが独立して存在していました。
それを一体的に整備し、商業・住宅・公共機能などを複合した新しい街の拠点として再構築していこうというのが、この再開発の出発点です。
吉原
2011年に準備組合が立ち上がってから、10年以上かけて進められてきたプロジェクトなんですよね。
関わるメンバーも途中で入れ替わっていくので、最初から全体を知っている人はほとんどいない状態でした。私たち自身も途中から関わっているので、すでにある構想やコンセプトを引き継ぎながら、どう形にしていくかを考えるところからのスタートでした。
五十嵐
さらに、このプロジェクトは関わる人がとても多いんですよね。
地権者の方々や行政、設計・施工、運営など、それぞれ立場の異なる人たちがエリア一帯の再開発事業に関わっています。
その中で、サーラ不動産としては
どのような役割を担っていたのでしょうか。
江間
事業計画の検討から施設の企画、テナント誘致、マンション開発・販売まで、一貫してこのプロジェクトに関わってきました。
その中でも私は建設管理の立場で、ゼネコンや設計事務所とのやり取りを担当していました。
EASTでは管理会社としての立ち位置が強かったですが、WESTでは全般を受けもつ立場。各社の要望を受け取りながら、それを実際の建物として成立させていく役割です。
吉原
私は開発チームとして、商業施設や居住エリア(マンション)の企画・設計に関わっていました。どうすれば価値のある建物になるかを考えて、それを具体的な設計に落とし込んでいく役割ですね。
五十嵐
私は少し特殊で、最初はマンション販売として関わり、その後は再開発組合に出向して、行政との協議や関係者の意見をまとめる役割を担当していました。
江間
同じプロジェクトでも、それぞれ立場ややりたいことが違うので、いろんな意見が出てくるんですよね。それをどうまとめていくかが、このプロジェクトの難しさでもありました。
吉原
特に大変だったのは、やっぱり変更が多いところでした。
長いプロジェクトなので、社内の考え方も変わっていきますし、街に求められるニーズもどんどん変わっていくんですよね。
取り入れたい要素も増えていくので、それをどうまとめるかは本当に大変でした。開業が近づくと、開業スタッフも入ってきて、また新しい視点での意見が出てきます。竣工間際はもう時間との戦いで、図面がないのにその場でゼネコンに指示を出すような場面もありました(笑)
江間
かなりバタバタでしたね。でも、そういった場面も含めて、最終的な調整を求められるのがこの役割なんですよね。スケジュールやコストの制約の中で、「ここはできる」「ここは難しい」と線を引いていく判断は、毎回簡単ではなかったです。
五十嵐
私は再開発組合に出向していたので、また別の難しさがありました。
出向元の地権者の立場もありながら、各地権者に公平性を保つ再開発組合の立場。どちらもよりよい計画とする事に変わりはないのですが、偏っていると誤解されないように思ったままの言葉を飲み込むこともありました。それぞれご自身の資産に対する想いもありますし、立場や考え方も違うので、一つの方向に合意を取っていくのは本当に大変でしたね。
江間
それでも、最後まで「もっと良くしたい」という想いで動いている人が多かったので、その積み重ねが最終的な形につながったのかなと思います。
Topic 02 完成の先にあったもの
本再開発プロジェクトは、emCAMPUS EAST・WESTのツインタワーと、
その中央に広がるまちなか広場で構成されています。
2021年、まずはEASTが竣工し、長い年月をかけて進められてきたプロジェクトが一つの節目を迎えました。
街の新たな拠点として動き出したその裏側で、開発に携わってきた当事者たちは何を感じていたのか。
そうして完成を迎えたときは、
どんなお気持ちでしたか。
江間
正直、「やっと終わった」というよりは、「ここからだな」という感覚の方が強かったですね。
WESTの開発も平行して進んでいましたし、運営に引き継いでいくフェーズに入るタイミングでもあったので。
五十嵐
私は、実際に人が住み始めたときに実感が湧きました。
それまではモデルルームや図面をもとにお客様にマンションを販売していたので、"まだ完成していないもの"を扱っている感覚だったんです。
だからこそ、実際に部屋に明かりがついているのを見たときに、「ああ、本当に人が暮らす場所になったんだな」って感じましたね。
吉原
利用されている方から「いい場所ですね」と言っていただけたときは、やっぱり嬉しかったですね。
いろんな議論や調整があった分、それが形になっているのを実感できる瞬間でした。ただ、EASTのときはサーラ不動産としてもこれほど大きなプロジェクトは初めてだったので、正直、手探りで進めていた部分も多かったと思います。だからこそ、EASTで苦労したことはWESTでは先回りして対応できるようになりました。
江間
今の知識や経験を持った状態でもう一度やれたら、もっといいものがつくれるんじゃないか、という気持ちはあります(笑)。
それくらい、会社としても得たものが多くて、次につながるプロジェクトだったと思います。
Topic 03 サーラ不動産の強みと、まちづくりの本質
本プロジェクトを通して得られた経験は、次の開発へと確実に引き継がれています。
グループの総合力を活かしながら進められる、サーラ不動産ならではのまちづくり。
その中で見えてきた強みと、この仕事の本質とは。
サーラ不動産の開発の強みは
どんなところにあると思いますか。
江間
グループ会社が多いことは大きな強みだと思いますね。
エネルギーや保険、リフォームなど、いろんな分野の会社があるので、それぞれの知見を持ち寄って、一つの建物に反映していける。
不動産だけをやっている会社だったら出てこないような意見が、グループ内から自然と出てくる点は大きいと思います。
吉原
一つの業界だけで考えるのではなくて、本当に"まち全体"のことを考えられていますよね。建物単体ではなくて、「この場所にとってどうか」という俯瞰した視点で話ができるのは、この会社の特徴だと思います。
五十嵐
マンション販売員の立場からしても、関係構築のしやすさはサーラならではだと思います。ガスや保険、リフォームなど、生活に関わるいろんなサービスがグループ内にあるので、お客様にとっても窓口を一つにまとめやすいんですよね。「とりあえず五十嵐に相談すればOK」と思っていただけるので、信頼関係も築きやすかったです。
最後に、この仕事の魅力を教えてください。
江間
emCAMPUS内をよく見ると見つけることができますが、建物の一角に定礎板というものが設置されており、プロジェクトに関わった人の名前が刻まれています。
そこに自分の名前があるのを見ると、これまで関わってきたことが一気に思い出されるというか、プロジェクトの過程が全部よみがえってくるんですよね。
五十嵐
EAST・WESTどちらの定礎にも刻まれている人って結構少ないですけど、私たちは両方ありますよね。
まさに、"自分の仕事が街に残る"という感じです。
江間
ぼくらは『墓標』とも呼んでます。死ぬまで関わるんだぞ、って(笑)
仕事をする中でこんな勲章を得られるのはごく一部かなと思います。
吉原
emCAMPUSができてから、古くからある南側の水上ビルの方への人の流れも変わりましたし、図書館や豊市パンなどの店舗ができたことで、街の使われ方自体が変わってきていると感じます。
それを間近で見られるのは、この仕事ならではだと思いますし、まだ途中だからこそ、これからどう変わっていくのかも楽しみですね。