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地域の魅力をどう"形"にするのか

#03 地域の魅力をどう"形"にするのか

東三河 FOOD DAYS立ち上げに見る
まちづくりの仕事

「東三河フードバレー構想」のもと、食と農を軸に地域の魅力を発信する取り組みとしてスタートした「東三河FOOD DAYS(フードデイズ)」。
その立ち上げは、前例も正解もない"0から1"の挑戦でした。

何をやるべきかも分からない状態で始まり、仲間を巻き込み、形にしていく——。
東三河FOOD DAYS立ち上げに携わった3名の対話から、プロジェクトの裏側を紐解いていきます。

Member

  • 久曽神

    久曽神

    フードバレーグループ マネージャー

    まちの活性化を目指し、「東三河フードバレー構想」を推進するチームの責任者。
    emCAMPUS EAST1階のフードホール「emCAMPUS FOOD」の責任者も兼任し、食を軸としたまちづくりを牽引している。

  • 兵藤

    兵藤

    フードバレーチーム/
    事業化・外部連携担当

    これまでのサーラのホテル事業のノウハウやemCAMPUSの拠点を活かし、生産者・料理人の出店や商品開発を支援。
    地域内外のプレイヤーをつなぎ、食・農分野における新たな価値創出と事業化を担っている。

  • 神野

    神野

    フードバレーチーム リーダー

    東三河フードバレー構想に関わる各プロジェクトの進行管理を担当。
    現在は、地域外から人を呼び込むフードバレーforインバウンドの企画・事業化などに注力している。

Topic 01 東三河フードバレー構想とは

まずは、「東三河フードバレー構想」について教えてください。

久曽神

一言で言うと、東三河の"食"を軸にしたまちづくりです。
東三河は、農業・水産・畜産が揃った一次産業の強い地域ですが、面白いのは、ただ大量生産が強いだけではなく、プロフェッショナルとしてのこだわりを持った生産者がたくさんいる点です。無農薬にこだわったり、高糖度を突き詰めたり、自分でブランディングして販売まで行う方などが多くいます。
さらに、海・山・川・まちが揃っていることで、生産物の種類が豊富。しかも田原、豊橋、新城…というように順番に旬が来るから長く楽しめる。こんな土地は珍しいと思います。自分たちが思っている以上に、外から見ると価値のある"原石"がたくさんある地域だと感じています。

一方で、そうした魅力が十分に伝わっていない
という課題もあったのでしょうか。

神野

そうですね。地域の中では「すごいよね」と言われているものでも、外にはなかなか届いていなかったんです。食や農をテーマとした取り組みも過去にもたくさんありましたが、行政や企業がバラバラに行っていて、まとまった発信にはなっていませんでした。それぞれがいいことをやっているのに、"点"で終わってしまっていた感覚です。

兵藤

だからこそ、それらを一つの"場"としてまとめて、外に向けて発信できる機会が必要だと考えました。東三河の食に関わる人たちが一堂に集まって、語り合い、新しいつながりが生まれる場をつくりたい。特に僕たちが大事にしていたのは、"モノ"ではなく"人"に焦点を当てることでした。
食材や商品だけでなく、それを生み出している生産者や料理人といったプレイヤーに光を当てることで、そこから新しい掛け合わせや可能性が生まれると思ったんです。それがFOOD DAYSのスタートでした。

Topic 02 東三河 FOOD DAYSというステージづくり

地域のプレイヤーを巻き込みながら、少しずつ仲間を増やしていった東三河フードバレー構想。
その認知を一気に広げ、外への発信を加速させる場として企画されたのが「東三河FOOD DAYS」です。

東三河の生産者や料理人、企業に加え、地域外からも多くのプレイヤーが集まり、
食・農にまつわるトークセッションやプレイヤーたちの交流会、
新たな食文化を生み出すキーパーソンを表彰する
「東三河フードクリエイターアワード」などを通じて"食"の魅力を発信するイベント。
大手企業との連携によるコンテンツも展開され、毎年規模を拡大し開催が続いています。

このイベントがどのようにカタチづくられていったのか。2024年の初開催、その具現化プロセスに迫ります。

そこからいよいよプロジェクトが動き出していったんですね。

神野

そうですね。最初は本当に不安なことばかりでした。
人が来てくれるのかという不安はもちろんですが、「これで本当に価値のある場になるのか」というプレッシャーも常にありました。
来てくれた人に満足してもらえるのかも見えなくて、手探りの状態がずっと続いていました。

兵藤

動き出しとしては、豊橋市や愛知県などの行政と課題感を共有するところからでした。そのうえで、生産者や、食・農に関わる企業の方々にも「一緒にやりませんか」と声をかけていきました。課題感は共通していたので、乗ってくれる方は多かったのですが、その先はやっぱり手探りでしたね。
全国の展示会やイベントにも足を運びながら、どんな企画がいいのかを探って、トークセッションやアワードなどのコンテンツを一つひとつ詰めていきました。なんせ、すべてが初めてで(笑)。

久曽神

アワード一つ取っても、何を基準にするのか、誰に評価してもらうのかなど、全部自分たちで決めないといけなかったので、
あのあたりはずっと、正解がない中をとにかく進むしかないっていう感じだったよね。

兵藤

本当にそんな感じでした。
だからこそ、外のプレイヤーを巻き込みながら一緒に形にしていくことを意識しました。その中で、三菱地所さんやぐるなびさんといった企業とご一緒できたことは大きかったですね。実績がない中でも信頼につながり、そこから一気に広がっていった感覚があります。

神野

一方、外との連携が広がる中で、社内の温度差も感じていました。
何をやっているのかが十分に伝わっておらず、「あのチームは何をしているんだろう」という空気は正直あったと思います。メンバーも別業務との兼務が多く、どう関わればいいのか分からない状態もありました。

久曽神

それでも、やり続ける中で少しずつ形になっていきましたし、周りの理解も徐々に広がっていきました。最初から整っていたわけではないですが、だからこそ一緒に作っていく面白さと刺激はあったと思います。

そうして迎えた当日はいかがでしたか。

神野

会場の中で名刺交換が自然に始まっていたのは、すごく印象に残っています。初対面の人同士があちこちで話していて、「つながってるな」という感覚があって。初めてだったので、それだけでも嬉しかったです。

兵藤

外から来た方が、東三河の食材や生産者についてポジティブに語ってくれていたのも印象的でしたね。
それがきっかけで、その後の取引につながったケースもあって、外の人が価値を見出してくれるのは大きいなと感じました。

久曽神

三菱地所の方がイベント後に「東三河フードバレーがようやく花開いた、記念すべき日」とSNSで発信してくれて。
自分たちではまだ手応えが掴みきれていなかった中で、そう言ってもらえたのは嬉しかったですね。

神野

アンケートの満足度としては高い結果が出ていたので、一定の成果は出せたのかなとは思います。
ただ一方で、「これでよかったのかな」という感覚も正直あって…。
自分の中ではモヤモヤが残る部分もあったんですが、その分「次はここを改善したい」という課題はかなり明確になりました。

Topic 03 SALAが担う、まちの未来づくり

初開催となった2024年の東三河FOOD DAYSは、協力企業・団体33社、
2日間で約1,200人が来場するイベントとなりました。
会場では、食・農の未来を語り合う場面や、新たな商談へとつながる動きも生まれていました。

その現場で、運営に携わったメンバーは何を感じていたのか。
プロジェクトを通して得たもの、そしてこの取り組みをサーラが担う意味とは。

このプロジェクトを通して得たものは何だったと感じていますか。

久曽神

0から1はできるようになったし、1から5くらいまでは持っていけるようになったと思うんですけど、じゃあそれを10まで持っていけるか、というのはまた別の話で。そこは事業としてやっていく力が必要なんだろうなと感じています。ただ、FOOD DAYSをきっかけに、メンバーはかなり成長したと思いますね。「やりきる」という感覚は、このプロジェクトで初めて持てたというか。

兵藤

そうですね。イベント当日に向けて集客をやりきるとか、ちゃんと目標まで持っていく経験ができたのは大きかったと思います。
正直、自分一人で頑張れることって、そんなに多くないじゃないですか。
いろんな人を巻き込んで、チームで動いていくことで、はじめて形になるんだなと実感しました。

神野

他にも、FOOD DAYSをきっかけに、東三河の"食"というテーマが地域の外にも少しずつ届き始めていて、地域貢献につながっている手応えも感じています。
メディアに取り上げていただく機会も増えましたし、企業や団体からの問い合わせやヒアリングも入るようになってきました。
共同通信社主催の「地域再生大賞」の受賞など分かりやすい形で評価していただく機会も出てきて、「ちゃんと意味のあることをやれているんだな」と、少しずつ実感できるようになってきています。

最後に、この取り組みが実現できた理由と、
これからの展望について教えてください。

神野

サーラって、不動産だけじゃなくて、エネルギーやホテルなどいろんな事業をやっている会社なので、もともとのネットワークや関係性が広いんですよね。今回もそういうつながりがあったからこそ、いろんな企業や行政と連携しながら進めていけたのかなと思います。

兵藤

それに、この地域に対してちゃんと向き合っている会社だからだと思います。東三河に人を呼び込みたいとか、この地域に関わる人を増やしたいとか、そういう本気の想いがあるからこそ、今回みたいな取り組みができているのかなと。

久曽神

FOOD DAYSもそうですけど、イベントをやること自体が目的ではなくて、そこから人のつながりや新しい動きが生まれていくことが大事だと思っています。サーラ不動産としても、建物をつくる(ハード)だけじゃなくて、そこにどんなコンテンツ(ソフト)を入れて、どう使ってもらうかまで含めてまちづくりだと思っていて。
ハードとソフトの両方を動かせるのが、僕たちの強みなのかなと。
その中で、食というコンテンツを通じて、この街の魅力を内側から高めていく。住んでいる人や、外から来た人に「この街、面白いな」と思ってもらえるような仕掛けを、これからもつくっていきたいですね。

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